低活動性せん妄

 95歳女性。当院初診の2ヶ月前に他院でレビー小体型認知症と診断され、リバスタッチパッチ4.5mgを開始されたばかりの方です。今朝から全く水分を摂ろうとしないとのことで家族が点滴を希望して連れてきました。

 

低活動性せん妄

 

考えたこと)
・急性感染症(たとえば肺炎)などの体調変化が起きている。  血液検査で確認
・リバスタッチパッチ 4.5mgが高齢のこの方には多すぎた。
・レビー小体型に特徴的な、意識障害である。

 

「Hさん、どうしましょうか?家族の方は点滴してはどうかと言っていますが。」と本人に話しかけると、何やらブツブツつぶやきながら、何度も立ち上がろうとするのです。
この状態はまさしく「心ここにあらず」。
これは「低活動性せん妄」の状態です。せん妄というのは「目は開いていても意識がぼんやりしている」寝ぼけているような状態。対策としては、しっかり眠ってもらうか、はっきり起きてもらうかのいずれかになります。
入院中に夜間せん妄になった場合、圧倒的に抑制系の点滴で「眠らせる」方向にいくことが多いですが、この方については、水分が摂れないと心配されているので、寝かせてはダメです。起きて頂きたいのです。

 

せん妄から覚醒を促す方法は2つ。
(1)シチコリン注射
(2)リバスタッチパッチ
 この方は既にリバスタッチパッチを使っているので、シチコリンの静脈注射を試すことにしました。シチコリン(ニコリン)注射は、脳内のアセチルコリンの合成機能を高めることで覚醒を促す方法です。

 

低活動性せん妄

 

 注射のポイントは「まだいいかなと迷うくらいの早い段階で、ためらわず行く
それまでのソワソワ落ち着かない状態からは、点滴が最後まで出来るのか一抹の不安もありましたが…。結果は大成功。シチコリンを静脈注射した後は、いたって穏やかな表情で1時間横になっていて下さり、こちらの声かけにも頷いて下さったのです。気持ちよく一発改善できればそのままでOK。再び一定期間(シチコリンの効果は一般的に4-5日)を経てせん妄になるのであれば、定期的にシチコリン静脈注射をするか、シチコリン成分のサプリメントであるCDPコリンを内服するという方法もあります。

 

低活動性せん妄

 

 この方が既に使っていたリバスタッチパッチにも、中脳や視床に働きかけて覚醒を促す効果があるとは言われています。しかし大切なのは用量で、95歳のレビーでは、リバスタッチパッチ4.5mgは少し多すぎる気もします。(添付文書では4段階の1番下の開始用量なのですが)家族には、試しに1/2か1/4に切ってみて、経過を見るようご提案しました。