抑制薬の全体マップ

 

 認知症診療でよく使う抑制薬の全体像をざっくりと俯瞰できるように書いてみました。

●グラマリール(チアプリド)「迷ったらグラマリール!」

無難な選択。
・初回診察後でまだタイプがはっきりしない時
・多少イライラが目立つが、暴力的というほどでもない。
・脳血管型認知症の怒りっぽさ・妄想に対して

 

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●ウィンタミン=コントミン マジカルパウダー!

  
・易怒が強くて手をあげるなど、エネルギーが強い時
・錠剤を警戒して飲んでくれない時に、吹けば飛ぶほどのウィンタミンを菓子パンにまぶしたり、ヨーグルトに混ぜて食べてもらうという作戦で使う。 
 午前は怒って看護師に唾を吐きかけていた男性が、昼にウィンタミンを飲んで午後には笑顔になっていたという逸話から、市立病院の看護師が‘マジカルパウダー’と名づけた。
 精神科で統合失調症の患者さんに処方される薬でもあり、体力のある若い患者さんには25mg,50mg,100mg錠などがあるが、高齢認知症患者さんに使う場合はウィンタミン細粒で1包が4mg, 6mgと一桁少ない‘微量’で調節する。
 5%で肝障害(黄疸)が出現するので、内服開始 1-2ヶ月後には、血液検査で肝機能をチェックしましょう。

 

抑制薬の全体マップ 抑制薬の全体マップ

 

●セルシン

河野先生いわく、「ウィンタミン72mg+セルシン6mgで95%の認知症患者さんの陽性症状はコントロールできる」

 

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●セロクエル(クエチアピン)

・ウィンタミンは非常にいい薬だが、5%で肝機能障害をきたす。かと言って中止すると怒りっぽさが再燃する。どうしよう…という時にセロクエルを使用。
・糖尿病では禁忌(使ってはいけない)

 

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●セレネース

・レビー小体型のせん妄に使用
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●ニューレプチル‘最後の砦’

 
・確かに他の抑制薬で制御できなかったエネルギーが、ニューレプチルで何とか…ということがある。
・過鎮静には十分注意する。

 

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●抑肝散

エネルギーを鎮める力は、西洋薬の抗精神病薬に比べて決して強くはない。
ただ一部には非常によく効く方がいる。穏やかな眠剤としても使える。
ため込まれた怒りを鎮める効果があるとも言われ、介護家族が飲むとよいと勧める医師もいるとか。

 

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その他)

●デジレル(トラゾドン)

 他のBZ系の抑制薬で出やすい歩行障害が出にくい薬として、本来は抗うつ薬がであるデジレルが提案されています。

●デパケン(バルプロ酸)

 BZ系の抑制薬で望ましい効果が得られない方で、デパケンなどの抗てんかん薬が効く方がたまにいます。