認知症の治療=薬を飲むことではありません

 現在の日本では、4種類の‘中核症状改善薬’が保険適応になっています。
最初はアリセプトという1種類しかありませんでした。2011年になって他の3種類が相次いで登場しました。

 

前提からひっくり返せ

 

前提からひっくり返せ 前提からひっくり返せ 前提からひっくり返せ 前提からひっくり返せ

 

 認知症診療においては、高確率にこれらの薬が処方されるようになりました。
4種類もの選択肢があって、認知症患者さんの状態が劇的によくなったかと言うと…残念ながら、そんなことはないようです。薬の副作用によって、かえって状態が悪くなる方が少なからずいることを実感しています。

 

「なんでなんで?中核症状改善薬って認知症の薬でしょう。
 認知症で受診しているんだから、認知症の薬が出るのは当然じゃないの?」

 

 こう思われるのは当然です。患者さんや家族ばかりか、医師も同じ発想で次から次へと薬を処方しています。
まず大前提として、中核症状改善薬は、根本的に認知症を治す薬ではありません。症状の改善薬です。
過大な期待を抱かないことがスタートにおいて重要です。

 

 そして忘れてはならないことは、中核症状改善薬には、多かれ少なかれ興奮作用があることを。患者さんや家族は、今の生活をより穏やかに、よりストレスが少ないものにと願って病院に行くのです。普段怒っている人に興奮作用がある薬を飲ませることは、願っている方向と真逆の効果を生んでしまいます。
認知症の治療をするということは、中核症状改善薬を飲むこととイコールではありません。苛立ったり怒鳴ったりする人には、これらの薬を使わないという選択こそが大切なのです。
当院でも、認知症4タイプを通して中核症状改善薬を使っている方は全体の半分強です。
エネルギーが強い前頭側頭型変性症の方に至っては、25%弱です。前頭側頭型変性症の中には、穏やかな意味性認知症の方が含まれているので、怒りっぽいピック病ではほぼゼロです。

 

前提からひっくり返せ

 

 中核症状改善薬を使わなきゃ、病気が治らないんじゃ…と心配されるかもしれません。希望をそぐ答えになるかもしれませんが、そもそも中核症状改善薬には、病気を治癒(根本的に治す)させる効果は期待できません。9ヶ月程度進行を遅らせる程度と言われています。メリットデメリットを秤にかけて、まずは本当に必要なのか?というところから考えていくことが必要です。