家庭天秤法の実際

家庭天秤法とは)
薬の副作用を最小限にしながら本人が穏やかに過ごせるよう、家族や施設スタッフが抑制薬(脳のエネルギーを抑えて穏やかになることを期待する薬)を増減する方法。

どんな時に薬を増やすか?

怒ったり大声を出している時。暴力を振るう時。ソワソワと落ち着かない時。幻視(実際にはない人や物が見える)や妄想が強い時。

 

どんな時に薬を減らすか?

薬が必要以上に効き過ぎている(過沈静)状態にある時。 
昼間からウトウト寝てばかりいたり、足元がふらつく、呂律が回りにくいなどの症状
熱が出て寝込んでいるなど、体調が悪くて寝込んでいる時。

 

★例えばウィンタミン6mgが1日3包処方されている場合

最初の飲み方  
朝 □  昼 □  夕 □
・1日中怒っていて全く効いていない時
       朝2包 □□  昼2包 □□ 夕 2包 □□
・昼間はそこそこ落ち着いているけれど、夜に大声を出すのが困る。
       朝2包 □   昼1包 □  夕2包 □□
・そこそこ穏やかになっていて、昼間が眠そう
       朝1包 □          夕1包 □
・かなり穏やかになっていて、昼間が眠そう
                      夕1包 □
・熱が出ていて元気がない、ぐったりしている。
       薬なし
・まだ怒っているが、薬が効いて眠そう。
       慌てて薬を増やさず、外来で相談する。

 

*必ずしも毎日薬を増やしたり減らしたりする必要はありません。そこそこ落ち着いているのであれば、最初の量のまま様子を見ていてもよいですし、1週間単位で量を変えてみてもいいでしょう。(薬が必要以上に効き過ぎているのに、週単位で放っておかなければOK。)
*薬の量の変化とご本人の様子を主治医に伝えるために、カレンダーに飲んだ量を記録しておきましょう。
*抑制薬は、どちらかと言えば家族など周囲の方の介護負担を楽にするための薬です。どのくらいの穏やかさを目指すのか(どのくらい大声を出していても許容範囲とするか)はご家族の性格や生活環境(1軒家なのかアパートなのか、他に介護を手伝ってくれる人がいるのか一人で介護しているのか)によって異なります。増やすかどうか迷った時には、「このくらいの穏やかさで介護者が大きなストレスを感じないか」が基準です。
 人間ですから相手の対応によりこちらの態度も変わるのが当然です。すべて薬頼みではなく、適切な対応によって穏やかな状態を維持しようという心がけも必要なのは言うまでもありません。
*抑制薬を処方された時には、あらかじめ「効きが悪い場合には、家族の判断でどこまで増やしたり減らしてよいか」の範囲を、主治医に確認しておきましょう。