レビー小体型と薬剤過敏性

 認知症の4タイプの中でも、もっとも相談相手を間違えてはいけないのが、レビー小体型です。
なぜかと言うと…レビー小体型には‘薬剤過敏性’があるからです。

 

レビー小体型と薬剤過敏性

 

 レビーの方はこの薬剤過敏性により、その特徴を十分に生かした丁寧な薬の調節を行えば、驚くほど状態が改善することがあります。一方で、薬剤過敏性を無視した大雑把な処方をされると、短期間の間に急速に歩けなくなったり、肺炎をくり返すようになるなど、急激に悪化し取り返しがつかない状態を招くことさえあるのです。
 もしこれからかかろうとしている医療機関での治療は大丈夫かな、と不安に思った場合には、主治医の先生にこんな風に確認されるといいと思います。

 

「母はレビー小体型のようなので、薬に敏感のようで心配なのですが…」

 

「レビー小体型なんて言っても、特別な治療なんてありませんよ。」
こんなコメントが返ってきた場合には…。(実際にこう言われたご家族を知っています)受診先を再検討した方がよいかもしれません。ご家族の命を守るために。

 

 先日私は非常に悔しい思いをしました。
 誤嚥性肺炎を起こし、食事がほとんど摂れなくなって入院された方です。肺炎の治療はうまくいき、食事を3食しっかり摂れるようになったのですが、寝たきりの状態となってから既に1年が経過しており、リハビリを導入してもなかなか活動性をアップさせるのがが難しい段階にありました。
ご家族に発症してからの経過をお聞きしたところ、数年来パーキンソン病として専門の治療を受けていました。途中からレビー小体型の特徴である幻視症状が出ましたが、特にレビー小体型という診断を告げられることなく、新たな中核症状改善薬が追加されました。ご本人は「薬が加わってから、体の動きが悪くなった。」としきりに訴えていたようですが、家族は「まさか専門の先生にかかって出された薬で悪くなることなないだろう。」と聞き流してしまい、そうこうするうちに歩くことができなくなってしまったのです。

 

 実は途中で、家族が知人から当院のもの忘れ外来の噂を聞き、話だけでも聞きたいと紹介状をお願いしたのですが、「専門医ではないから」という理由で紹介さえしてもらえなかったと言うのです。薬の副作用が出て間もない段階で受診してもらい、適正に薬を調整できていれば…。
「紹介してもらえなくても、黙って受診してしまえばよかった…。」
ご家族は大変落胆されていましたが、現主治医の紹介なく他の医師にかかるということに心理的抵抗があったとしても、無理はないように思います。ただ同じ思いをするご本人・ご家族をこれ以上生まないように、レビー小体型の薬剤過敏性について、もっとしっかりと介護スタッフの方、そして一般の方にも啓蒙しなくてはいけないと強く思いました。
レビー小体型と薬剤過敏性

 

 パーキンソン病とレビー小体型認知症は、パーキンソン症状という共通項があったとしても‘同じような治療’ではいけません。薬剤過敏性をしっかりと意識した治療が必要だと、ぜひ覚えておいて下さい。

 

もう少し詳しく

レビー小体型認知症の中でも、とりわけ注意が必要なのが‘悪性レビー’
これは前頭葉関連症状(脱抑制・アパシーと呼ばれる無関心・感情移入欠如など)を伴うタイプで、レビーの4割を占めます。
このタイプはコリンエステラーゼ阻害薬(中核症状改善薬)の効果が出にくいばかりか、副作用で悪化する可能性があります。
より薬剤過敏が強いと考え、細心の注意を払って薬剤調整を行いましょう。