糖質制限とカロリー制限

 ↓動画で見たい方はこちらから☆彡

糖質制限とカロリー制限

 

 糖質制限って何?という方のために、今日はごく基本的なお話をします。

 

 まず糖尿病というのは、血糖が上がる病気です。血糖が上がるのだから、血糖を上げる原因をなくせばいい。3大エネルギーの糖質・たんぱく質・脂質の中で直接的に血糖を上げるのは糖質だけなので、糖質を摂るのを控えましょうというのが糖質制限の考え方です。小学生でもわかる、シンプルな理論ですよね。

 

 ところが現在日本糖尿病学会が標準として推奨しているのは糖質制限ではありません。従来からずっとカロリー制限法です。
「カロリー制限」になると、理解が難しくなります。…と言うより、理解不能と言うべきでしょうか。血糖値が高いことと、カロリーを制限することが、論理的につながらないためです。「高脂質高カロリーな食事によって糖尿病が発症したり悪化する」という前提でカロリー制限が生まれたのだと推測しますが…。

 

 実際にはこれは前提そのものに大きな誤りがあります。
脂質を多く摂っても、血糖は上がりません!

 

 脂身のある分厚いステーキを食べた時と、おにぎり1個を食べた時。
ステーキの方が断然高脂質・高カロリーですが、糖尿病の方がおにぎりを食べると食後血糖がガーンと上げる一方で、ステーキを食べても血糖はほとんど上がりません。この話を外来で患者さんにすると「え?!」となかなか信じて頂けないこともありますが、実際に血糖をチェックすればすぐにわかる真実です。
糖質制限とカロリー制限  糖質制限とカロリー制限
 カロリー制限法では、ただカロリーを制限するのではなく、もれなくエネルギーの摂取比率(糖質60%,脂質20%, タンパク質20%)がついてきます。全体のカロリーの60%を糖質から摂ると決まっているのです。血糖が上がる病気なのに、血糖を上げる糖質がもっとも高い割合で含まれた食事を摂ることがおかしいと思いませんか?
実際に、糖尿病の患者さんの教育入院ではご飯が山盛りで、患者さん本人が「これ、食べて本当に大丈夫なの?」と不安を口にすることがあります。
糖質制限とカロリー制限
 主食である白米は茶碗1杯で角砂糖15個分、食パン1枚で角砂糖8個分、素うどん1杯で角砂糖14個分の糖質が含まれています。糖質1gを摂ると、糖尿病の方では平均3mg/dl血糖が上がります。55gの白米を食べれば165mg/dl上がりますから、食後血糖を合併症予防に有効な140mg/dl以下に抑えることは、物理的に難しいのです。

 

この角砂糖〇個分の主食を減らしたりやめて、血糖を直接上げないタンパク質・脂質をエネルギー源としてしっかり摂るのが糖質制限ですから、血糖が下がるのは当然です。糖質が入ってこないことで脂質が燃やされるため、短期間で体重も減っていきます。

 

 1950年台に高脂質な食事が糖尿病の原因なのでは…と提唱されてから、長期にわたりカロリー制限が主役でしたが、アメリカでは2013年に糖質制限が一つの選択肢として公式に認められました。ちなみに日本糖尿病学会ではその時点でも「糖質制限は安全が確認できないので勧められない」とされており、その姿勢は2020年の現在でも大きく変わっていません。実際には、エビデンス(医学的証拠)がなく安全が確認できていないのは従来のカロリー制限も同様です。

 

 糖質制限については、いちはやく成果を求められる飲食・食品業界、ダイエットなどのフィットネス業界の方で大きな流れが生まれており、もはや一時的なブームではなく定着し、更に進化を続けています。唯一糖質制限の普及の大きな流れから取り残されて停滞しているのが専門家である医療という、摩訶不思議な逆転現象が起こっているのが今の日本なのです。