食欲はコントロールできる その1)

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食欲はコントロールできる その1)

 

 ダイエットは‘空腹との闘い’‘食欲をコントロールする意志の力が必要’である。
そんな風に思っていませんか?

 

 その証拠に、外来では必ず
「私は意志が弱いから、ダメなんです!」
「お腹がすくと、ダメだとわかっていながらつい食べてしまって…」
というセリフをよく聞きます。

 

 私自身も、糖質制限について学び始めたばかりの頃は理解が浅く、自身の糖質制限もなかなかうまくいかない時期がありました。自分が実践できていないことを他人様にお勧めするのは気がひけまて、糖質制限についても積極的にお勧めできませんでした。

 

 ある本との出会いによって、思いもかけぬところから救いの手を差し伸べられました。
食欲はコントロールできる その1)
記念すべきメガビタミン療法との出会いです。

 

●プロテインとATPセット

 本を読んで「これならいける!」と思ったのは、小西先生が、過食症の方の食欲コントロールについて書かれていたからです。過食嘔吐症状は、精神科にかかってもなかなか治すのが難しい症状の一つです。それを小西先生はさらりと「この方法で治るから、あまり深く考えないでいい。」と書かれていたのです?え、治るから?と耳を疑いました。
 小西先生は本の中で、睡眠時間以外の時間を「8時間の栄養タイム」と「8時間の過食タイム」とに区切っています。栄養タイムには指示された内容の栄養を摂るのですが、驚いたのは、残りの過食タイムでは、「この時間は何をどれだけ過食してもよい」とのこと!
 そして肝腎の栄養タイムの中で摂るように指示されていたのが、ホエイプロテインとATPセットだったのです。
食欲はコントロールできる その1) 食欲はコントロールできる その1)
 当時の私は、ホエイプロテインって何?ATPセットって?というレベルでしたが、これを摂れば過食の衝動が自然と治まるという記載を、信じられない気持ちで読み、ますます興味を持ちました。菓子パン20個、カップラーメン3杯、ロールケーキ3本を食べる方の食欲でさえもコントロールできるなら、少々の食いしん坊の食欲は更にたやすくコントロールできるのでは?!と思ったのです。
 プロテインはタンパク質そのもので、肉や魚を山のように食べるよりも効率的にタンパク質を摂取することができる手段です。過食症=砂糖中毒であり、これは体がATPというエネルギー不足でSOSを出している状態とのこと。

 

 糖質でエネルギーを生み出すエンジンは、実はエンジン効率がよくありません。1回で2ATPのエネルギーしか生み出すことができないのです。(ATPというのは体内のエネルギー通貨の単位)一方脂質は1回で129ATPが生まれます。その差は約65倍!人間にとって、より馬力がある主力エンジンは、脂質を材料とするケトンエンジンなのです。
このエンジンを回して化学反応を起こすには、体を形づくる材料であり酵素の原料でもあるタンパク質と、化学反応の中で補酵素として使われるビタミン(通称ATPセット)が必須です。栄養タイムに両者をしっかり摂ることで体の中でエンジンがしっかり回り始め、エネルギー不足が解消されることで、糖質を摂りたいという渇望感が自然と落ち着いていく…そんな説明でした。

 

 また鉄についても、ビタミン同様エネルギーを生み出す回路の電子伝達系という部分で重要な役割を果たしています。鉄分は生理がある20-50歳台の女性の98%(ほとんど全員ということですね)で不足しており、現代日本において深刻な健康問題です。欠乏することでやはりエネルギー不足となり、甘い物を我慢することが難しくなります。実際に外来でも、鉄欠乏がある女性に鉄剤を処方し始めると、翌月には
「以前みたいにドカ食いをしなくなりました!不思議です!!」
と効果てきめんです。
糖質制限において「糖質を摂らない」に焦点を合わせてしまうと、これまで糖質と甘い関係を築いてきた私たちは「大好きな物が色々食べられるなくなる!」と不安で身構えてしまいます。そこで「糖質を摂らない」よりも「たんぱく質・脂質をがっちり摂る」に意識を合わせた方が、糖質制限そのものもうまくいきやすいと実感しています。

 

食欲は、ほとんどの人がコントロールできないのは自分のせいなんだ…と罪悪感を持ち、自分を責めて自己肯定感を低くする結果となりがちです。でも本当はそうじゃない。体が栄養不足を必死に訴えているSOS症状なのだから、きちんと知って対応してあげれば、必要以上に食べたい!という食欲モンスターに振り回されなくて済むのです。この知識は、一人でも多くの方に知って頂きたい真実です。
食欲はコントロールできる その1)
 R1年9月に講演会に来て下さった小西先生。探求心旺盛で愛情深い、素晴らしい先生です。小西先生のお陰で糖尿病の方、認知症の方に、有力な選択肢を提供できることになり、心から感謝しています。