高血糖の記憶 〜メタボの烙印を押される前に〜

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高血糖の記憶 〜メタボの烙印を押される前に〜

 

 私が江部先生の「主食を抜けば糖尿病はよくなる!」という本を読んで衝撃を受けたちょうどその頃に、一緒に読んだ本があります。

 

高血糖の記憶 〜メタボの烙印を押される前に〜
「糖尿病治療」の深い闇 (桐山秀樹)

 

 ノンフィクション作家の桐山さんが、自身の糖尿病が判明して糖質制限に巡り合うまでの経過が記されています。江部先生の本が糖質制限の内容に関する道案内だとすれば、桐山氏の本は糖質制限をとりまく医療体制の問題(まさしく糖尿病治療の闇)に焦点を合わせて深く掘り下げた本で、江部先生の本と一緒に読むことで、問題の本質を捉えることに役立った気がします。医療というものを無邪気に全面信用してはいけないと気づかせてくれた本でもあります。

 

 作家として多忙かつ不規則な生活によって糖尿病を発症した桐山さんが、若手の医者に
完全な上から目線な口調で物を言われるシーンは、その心情を想像するだけで辛いものがあります。

生活習慣のみならず、自分の人生までも否定されたような思いがした。ただでさえ体調が悪く、仕事を休まざるを得なくて気持ちが辛いところに一つ一つの言葉が心に刺さった。もっと言いようはないのかと思った。

 医師はどうしてもHbA1cなどの検査数値を通して患者さんをジャッジしてしまいがちですが、それによって生計を立てているそれぞれの職業ごとの大変さ、家庭内での事情があります。たとえ望ましくないとわかっていても、その生活スタイルをとらざるを得ない個別の事情にまで想像力や共感を働かせているか?そんな問いを突き付けられた気がしました。

 

 よい本と出会えたことに心から感謝し、著者にいつかどこかでお会いすることができれば嬉しいな…と思っていました。
 しかし桐山さんは、2016年に心筋梗塞で突然お亡くなりになりました。本当に残念ですし、その際のマスメディアの取り上げ方にも憤りを感じたのです。糖質制限に関して積極的に情報発信されていた桐山さんの訃報を取り上げ、「だから糖質制限は危ないんだ。」とでも言いたげな流れで文章が書かれていたためです。

 

 今回あえて故人を取り上げさせて頂いたのは、メタボの烙印、高血糖の記憶について話をするためです。

 

 桐山さんは亡くなる6年前に糖尿病性の網膜症と診断されています。初診の段階では倦怠感もあり、直近1-2ヶ月のコントロールを反映するHbA1cも9%と不良でした。その後、糖質制限と巡り合った桐山さんは数年にわたり良好な血糖コントロールを維持するようになりました。

 

 これが糖尿病の動脈硬化性病変の恐ろしさです。高血糖によってつくられたAGE (終末糖化産物)と呼ばれるタンパク質は、血管内皮細胞を傷つけ、血管の炎症を誘発します。このダメージは「高血糖の記憶」別名 メタボの烙印とも呼ばれ、後から生活を改善して血糖コントロールを良好に保ったとしても、忘れた頃に動脈硬化性の疾患を発症する可能性があるのです。

 

 糖質制限をしたから病に倒れたのではありません。「糖質制限によって血糖を改善してもなお、手遅れであった」が適切かもしれません。糖尿病の方がこのニュースを耳にして教訓にして頂きたいことは、糖質制限は危ないからやめようではなく、メタボの烙印が押される前に、一刻も早く血糖を改善させようということです。

 

「もうちょっと悪くなってから考える。」
外来でもこんな言葉でのらりくらりと問題を先延ばしにして現実を見ないタイプの方がいますが、いざ本気になった時に手遅れでないことを切に願います。これは読んで「自分は大丈夫かな?」と心配になった糖尿病の方は、ぜひ眼科で網膜の診察、循環器内科で心機能の評価、脳外科的に脳血管の評価を行いましょう。

 

メガビタミン的アプローチ)
・たんぱく質の十分な摂取
・ビタミンE
・EPA
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