おすすめの認知症教科書

 講演でお話をした時などに、よく頂く質問

 

 

「初めて勉強する人向けに、おすすめの教科書はどれですか?」


 

 私自身も、初めてコウノメソッドを勉強しよう!と思い立った時には、書籍を読んで1冊のノートにまとめるというスタイルで勉強をしました。当時は「ドクターコウノの認知症ブログ」という素晴らしく情報豊富なお宝ブログが一般公開されていましたが、初心者がいきなりこれを読もうとすると使われている言葉の理解からしてちんぷんかんぷんで、最初は半分も理解できなかったので。まずは易しい書籍に一通り目を通すのは、とてもよいと思います。

 

上記質問に対して私なりの回答がこちらの3冊です。

●完全図解 新しい認知症ケア(医療編) 河野和彦著
●コウノメソッドでみる認知症診療 河野和彦著
●認知症 かんたん診断と治療 平川亘著

 

完全図解 新しい認知症ケア(医療編) 
おすすめの認知症教科書

 

 この本は、コウノメソッドの薬について詳細に多くの情報を網羅した本ではありません。イラストが多く、一通り読んで全体像をつかんだりイメージを頭に浮かびやすくするのにお勧めです。医療機関の待合室や介護施設のホールなどに閲覧用に1冊置いておくのによいかもしれません。

 

コウノメソッドでみる認知症診療
おすすめの認知症教科書

 

 もう少し踏み込んで、具体的な薬の用量なども学んでみたいという方には、こちら。こちらは医療者を想定して書かれていると思われます。(現に医師仲間に初学者向けの教科書を聞かれた場合は、こちらを最初に挙げています)認知症のタイプ別に、薬の名前と用量が具体的に書かれています。
 自分の家族が認知症で、具体的にどんな処方をしてもらうべきか、など具体的な作戦まで練りたい…という意欲の方には一押し。書いてある内容を7割理解できれば、もうその時点で勉強不足の認知症医を軽く上回るほどのリテラシーを身につけたと、自信を持っていいと思います。 

 

認知症 かんたん診断と治療 平川亘 著
そして3冊目は、池袋病院副院長の平川亘先生が書かれたこの本。
おすすめの認知症教科書

 

 平川先生は脳外科医で、ふだん救急外来で救急対応をしつつ認知症の患者さんも診察をされているそうです。単純な頭の構造を持つ私からすると「先生の頭の中はどうなっているんだろう…」と驚くようなマルチタスクぶり。実際にお会いしてお話すると、とても優しくてこちらも笑顔になってしまうようなお人柄にも関わらず、外来で認知症薬のデータを緻密にとられて問題を分析する視点はナイフの刃のように鋭い…もうギャップ萌えです。平川先生は、認知症治療研究会で発表をされていますが、先生がもたらす新しい情報は、常に会場にどよめきを起こします。特に抗血小板薬であるプレタールの知見は衝撃的でした

 

 どちらの本にも治療の全体像が詳しく書かれていますが、特に中核症状改善薬については平川先生の本が、そしてBPSDの対応については河野先生の本がより分かりやすいと個人的に感じています。
 最初からすべてを理解しようなどと気負う必要はありません。何度も繰り返し読むうちに、言葉そのものになじみが出て基本部分をストレスなく理解できるようになり、当初は歯が立たないと思っていた部分も少し理解できるようになる…。そんなくり返しで理解が深まっていきます。

 

「アウトプットは最高の学び」という言葉があります。学んだことは、ごく簡単でもよいので家族の方や同僚の介護職員などに伝えようとすると、理解がさらに深まります。