●認知症と介護 目次

介護記事一覧

 40歳の誕生日に、母からアメリカンチェリーが贈られてきました。子供の頃は「お腹いっぱいアメリカンチェリーを食べたい」と言っていたため、今でも初夏の誕生日には贈ってきてくれます。ろくろく親孝行もせず、いい年して両親から誕生日プレゼントを贈られることに気恥ずかしさを感じつつ、やっぱり嬉しいものです。  認知症の患者さんと接していても、「何歳になっても、お母さんなんだな…」と思うことがあります。例えば...

 先日の外来での出来事です。90歳台の父親の診察を終えて一度は出て行った娘さんが、ひとり診察室に戻ってきました。彼女は椅子に座ると、ささやくように言ったのです。「先生、霊って信じます?」「……。」てっきり宗教の勧誘かと思いました。高額な壺を売りつけられるのではと少し警戒したのはここだけの話(笑)でも違いました。数年前に亡くなったお母さんの話だったのです。 どうも知人の霊に詳しい方?が、娘さんにこう...

なんでこんな忙しい時に・・・。 友達は親に子守を手伝ってもらっているのに、自分は介護で大変なんて・・・。 介護をしていて、こんな風にぼやきたくなりませんか?「損をしている」「運が悪い」なんて言葉が頭をよぎる方もいるかもしれません。気持ちは痛いほどわかります。 でも、今この数年だけではなく人生全体を俯瞰してみると、違う風景が見えてきます。リコード法では、こんな記載があります。アルツハイマー病は、診断...

 外来で患者さんである夫の様子を聞いた時に、「私が怒らなければ、夫は怒りません。」などと表現する奥さんがいて、一緒にふふふ…と笑ってしまいます。 そうなんです。「患者さんは介護者の鏡」という側面もあり(もちろん全てではありません)介護している側がイライラしていたり不安に駆られていると、一緒にいる患者さん本人にその感情が伝染してソワソワしてしまう、ということは日常的に経験します。 だからこそ、介護者...

 H29年1月に自らのクリニックを開院しました。 診療内容については公立病院時代と大きくは変わらないものの、勤務医から開業医への立場の変化には、開院準備の段階でかなり不安を感じたのを覚えています。(今も感じていますが…。)何しろサラリーマン家庭育ちで世間知らず。おそらく社会常識と思われる知識もあちこちに穴がある自覚があります。経理や税金、法律などの本は、読んでいると眠くなったり頭から煙が出そうにな...

 先日子供の小学校で開かれた講演会で、子供が大きくなり成績が気になる年齢になると、ついつい成果承認(〇〇できたからすごいね)をしてしまいがちだが、その前にまず存在承認(いてくれてありがとう)がしっかりされていなくてはダメですよ、というお話がありました。存在承認をとばして成果承認をしてしまうと、頑張らなくては自分は価値がない存在なんだ、と感じさせてしまうと言うのです。 この話を聞いて、小学2年生の夏...

 当院は認知症専門のクリニックではありません。待合室には赤ちゃんの予防接種で来院した若い親子も、風邪でかかる中高生も、高血圧の中高年の方も、みんなごちゃまぜです。多くの人が行きかう社会の縮図のようなクリニックを作りたいという思いがあって、あえてそうしました。 ある日の診察のこと。身なりが整った初老女性が、待合室で大声で叫ぶ認知症高齢者の男性を見てこんな風に言いました。「ああはなりたくないわね。」 ...

 認知症のお母さんを介護している娘さん。「私、ダメなんですよね。頭では分かっているのに、つい怒っちゃうの。母にはこうであって欲しいっていう気持ちが強くて…。」いつもは快活な女性が外来でポロッとこぼした涙に、胸がしめつけられる思いがしました。 今年早々に読んだ本。『老いた親を愛せませすか?』 アドラー心理学の「嫌われる勇気」の共著者である岸見一郎さんが書かれた本です。ご自身のお父様の介護体験をベース...

 最近の介護を表すキーワードに「実子介護」(嫁ではなく娘や息子が自分の親を介護する)があります。いまや、介護者の3割は男性だそうですから、決して少数派ではありません。この文章は、前勤務先である笠間市立病院に勤務していた時期に書いたものです。****** さてさて、今日のテーマは、題して『男の介護』です。(コウノメソッドとは直接関係ありませんが、介護つながりで。)とある日の訪問診療コースの患者さん数...

 診察の終わりごろに、真面目そうな介護家族がそっと告白してくれます。「本当はダメだってわかっているのに、私ダメなんですよね…。」「怒ってばっかりいるのは母じゃありません。私です…。」不真面目な私は、こう答えてしまいます。「70点くらいでいいんじゃ…ないでしょうか?」 無責任なのかもしれません。彼女の抱えているものの重さを、私は推測することしかできないのですから。でも、ほんの少しでも元気づけたくて、...

「医者ってね、ずっと敵だと思っていたんですよ。」こんなドキッとする本音を明かされたのは、出会って少したってからのことでした。 言ってくれたのは、某老健施設(老人介護保険施設)の施設長。互いに信頼する知人を介して知り合いました。上の言葉を聞いた時、どこかでこんなセリフを聞いたことがある…と既視感を感じました。そうだ、三好春樹氏だ!私はコウノメソッドに巡り合う前に、認知症というものを知るよりどころとし...

「何かに囚われると、朝から晩までずーっと同じ話を繰り返すんです。デイサービスがない日なのに、デイのお迎えはまだかとか、ご飯を食べたのにご飯はまだかとか。何十回でも下手したら百回以上。こっちがおかしくなりそうです。」このセリフ、いったい何度聴いたでしょう。「こっちがおかしくなりそう」この言葉が発せられるシーンは通常の生活ではまれな部類だと思うのですが、介護の話では私からすれば‘よくあること’。5分1...

 それなりに元気だった遠方の両親が突然倒れた!などの事情で子供であるあなたが駆けつけた場合に、病院とのやりとり以外で最初にやるべきことは、おそらく介護申請をすることになるでしょう。 65歳以上では全員介護保険被保険者証が配布されますが、これを持っているだけですぐに介護サービスが開始できる訳ではありません。自宅でも介護施設でも、何らかの介護サービスが必要となった時に、そのよりどころになるのが本人の介...

 認知症が進行した段階で、家族の方が心配する症状の一つが‘徘徊’です。2014年には、徘徊の末に行方不明となっている方が数多くいることがニュースに取り上げられました。2012年に行方不明となった認知症患者のうち、351名が亡くなり、208名は行方不明のままだとか。不慮の事故という形で大切な家族を亡くされたご家族の心の傷を思うと、何としても避けたい事態です。 足腰の筋力が落ちないように自由に歩いては...

 服薬支援ロボという機械を、ご存知でしょうか?薬を飲み忘れてしまったり、逆に飲んだことを忘れてもう一度飲んでしまう…という高齢者(特に認知症の方)のお薬問題を解決することが期待できる機械です。機械の要点は、こんな感じ。・1週間分の薬をカセットに詰め、そのカセットを機械にセットすると、指定した時間に音声でお知らせしてくれる。ボタンを押すだけで飲むべき薬が出てくる。・飲んだことを忘れてもう一度ボタンを...

 このホームページは、読んで下さる方に明るい希望を届けたくて作りました。でも時には、なかなかクリアカットにいかずにう〜ん…とため息をついたり、ちょっと待って…と愚痴をこぼしたくなることもあるのが日常。 今の悩みの種は、外来患者さんが持参するこの書類です。 送り元は運転免許センター。「認知症が疑われますので、診断を願いします。」というのがこの書類の趣旨。高齢者が免許更新のために免許センターに足を運ん...

 先日「運転免許の憂うつ」という記事で、現場のもやもやとした気持ちを書いてみたところ。書いていくらか気分がすっきり…ではなく、後日談があります。 私のぼやき記事を読まれた方が、この問題について他の認知症診療医の先生方に意見を募って下さったのです。数日後にはベテランの先生方のこの件についてのご意見が集まってきました。どの先生のご意見も、机上の空論ではなく現場の状況に根差してご自分なりの判断軸に基づい...

 最近私が認知症の男性のご家族に紹介して、とても感謝された本です。  読んでよかったと思うのと同時に、読んでいなかったら多くの方を立場上ミスリードしていたかもしれない…と内心ひやりとした本でもあります。これはご家族が認知症かな?と言葉が頭をかすめるらいで読んでおくことがベスト!いや本当は、親御さんが元気でそんなこと考えたこともない♪という時期に読んでおくのが理想的です。(でも現実的には、この段階で...

 忙しいアラフォーアラフィフ世代にとって、考えたくないことですが…。いつまでも元気でいてほしい、健康でいてくれると信じていた親に、ある日浮上する健康問題。‘その時’は、多くの場合突然やってきます。このホームページは、そのような方の力になりたくて作りました。 それでも…経験者が口をそろえて言うこと。「もっと早くに準備をしておけばよかった。」「知らなかったがために、大変な苦労をした。」 時間的な余裕が...

●パーキンソン病「ホーン・ヤールの重症度分類」でヤール3度以上であれば、難病指定の対象となる。薬剤費を含む医療費の一部が控除されます。難病HP